林一記、レアな宗教を学ぶ①

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 1977年、千乃裕子が創設した奇妙な装束のカルト集団。電磁波が環境破壊の諸悪の根源で、将来謎の10番目の惑星が現れて地球の磁極を狂わせ、人類の滅亡をもたらすと説いた。さらに彼らは共産主義者が電磁波で攻撃してくると信じている。攻撃から身を守るために、信者は全身真っ白な装束で身をかため、手術用マスクをつけて、移動にも白いバンを使う。

 

 彼らが世間の注目を浴びたのは、2003年に多摩川に迷い込んだ野生のゴマヒゲアザラシを拉致しようとした事件だった(このアザラシはタマちゃんとして国民的アイドルになった)。地球滅亡を阻止するために、アザラシを自然に返さなくてはならないと信じていたのだ。

 

 その一ヶ月後の4月、この集団はいきなり東京西部の道路を占領して、ガードレールや木を並べてバリケードを作り、5月15日とはじき出した人類滅亡の日に備えてシェルターをこしらえているのだと説明した。しかし、その日になっても滅亡はなく、教団は5月22日だと計算し直したが結局この日もなにも起こらなかった。その後、教団は世間から忘れられた。