林一記、海外から見る「日本」を学ぶ④

7. 春画の大流行

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江戸時代には春画という木版画が大流行していた。幕府はこれを一応取り締まっていたが、あらゆる身分の男女が楽しんでおり、実効性はほとんどなかったようだ。

 春画は本に綴じられることもあり、一般的な本よりもよく売れた。作成は匿名であったが、葛飾北斎喜多川歌麿など、当代随一の浮世絵師たちの誰もが春画を手がけている。その題材はソフトなものから、みだらなもの、同性愛、エキゾチックな外国人との逢瀬、触手モノの先駆けのような作品まで多種多様である。

 外国人との接触の機会も増えだした1859年、横浜を訪れたフランシス・ホールというアメリカ人は、訪問先の主人が自慢げに見せてくれた春画のコレクションにショックを受けたという。彼の日記には、「おびただしい本が、恥知らずにも展示されている」と書かれている。

 春画は日本が近代化と西洋化を進める過程で廃れていったが、最近になって再評価されるようになってきた。