林一記、海外から見る「日本」を学ぶ⑥

5. 離婚は日常茶飯事

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日本の他の時代とは異なり、江戸時代の離婚率は高かった。地域によってはなんと4割が離婚していたというのだ。離婚のすべてが届けられていたわけではないことを考えると、実際にはもっと高かった可能性もある。

 離婚を言い渡せるのは夫であったが、妻の両親にその力があることもあった。

 儒教的な伝統では、夫が妻に離婚を言い渡していいのは、舅に従わない、無子、いん乱、嫉妬、悪疾、多言、窃盗のいずれかの事由がある場合であり、これを七去という。しかし多くの場合、夫は特に落ち度もないのに妻と別れていたようだ。

 離婚を望む夫は、妻に三行半という離縁状を突きつければいい。夫が妻の財産や持参金を返還する限りは、特に支障なく進んだようだ。
 
 19世後半まで離婚率は高いままだった。ところが、日本が近代化と西洋化を突き進むにつれて、離婚率は低下する。この2つは一般的に離婚率を上げる要素であるのに不思議なことだ。