林一記、海外から見る「日本」を学ぶ⑦

4. 隠れキリシタンの存在

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 日本のキリスト教徒は人口の1%未満であり、中国や韓国のような他の東アジア諸国と比べるとかなり少ない。しかし、16世紀中頃に初めて宣教師がやってきたときは、布教についてはかなり楽観視されていた。

 16世紀末期には、農民や大名らが改宗し、30万人ものキリスト教徒がいたという。しかし信徒が増加すると、幕府はこれを問題視しはじめる。彼らは迫害され、改宗を迫られ、処刑や磔に遭うこともあった。

 これによって不満を募らせた農民のキリスト教徒が島原の乱を起こし、キリスト教は完全に禁止されてしまう。

 しかし当時いた大勢のキリスト教徒は改宗することなく、地下に潜り、密かに信仰を持ち続けることを選んだ。それから200年、彼らは人里離れた場所や島などに住み着き、洗礼を受け、クリスマスを祝い、意味など知る由もないラテン語の祈りを捧げて生きた。

 こうした隠れキリシタンは江戸時代末期には3万人ほど生き残っており、再び訪れた西洋の宣教師たちを驚かせたという。