林一記、海外から見る「日本」を学ぶ②

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 芸術、文化、商業が隆盛を極めた江戸時代であったが、庶民にとっては大変な時代でもあった。生まれに応じた社会的な身分制度が存在したからだ。


 頂点に立つのは武士であり、以下は農民、職人、商人と続く(士農工商)。そして人口の大半を占める農民は唯一年貢を課される身分であった。

 時代とともに多少の改善が見られたとは言え、一般に農民の暮らしは貧しかった。貧しさゆえに子供の間引きが行われることもあった。貧困者は都市部でも似たようなものである。

 国立科学博物館の調査によれば、江戸時代において日本人成人の平均身長は男性155cm、女性145cmだったという。当時の人骨10,000点の調査からは、大勢が栄養不足だったことが明らかとなっている。また梅毒の痕跡も発見されている。

 また女性は化粧に起因する鉛中毒が多かったようだ。そうした遺体の多くは若者であり、その年代の死亡率が高かったことを示唆している。